【完】もっとちょうだい。
「……してやろっか?」
芙祐の細い腕を掴んで、引き寄せたら。
瞬間的に芙祐は視線を地面に下げる。
「え、あ、うん、えっと」
慌てすぎ。
可愛すぎ。
だんだん、顔赤くなりすぎ。
後ずさりを続ける芙祐は後ろのコンクリートの壁で行き場を失って、
「や、ヤヨ……?」
って、覚悟くらいしとけよ。
お前が言い出したんだろ。
「していいんだろ?」
芙祐の顔を上げさせて、唇を近づけたら
「死んじゃう!!!」
って声でかいから!!
「おま……不審者騒動だと思われるだろ!」
「だって、なんか……本当に来るから。恥ずかしくなってきた」
「……はぁ」
こっちの身にもなれ。
この悪魔。