【完】もっとちょうだい。
ドアが閉まりますってタイミングでね。
あたし、電車おりて
ヒールだけど頑張って
ヤヨのこと追いかけた。
「ヤヨちゃーんっ!」
あたしの声に振り返る遠くの小さな人影。
「え!?」
ヤヨ、びっくりしてる。
それに、じつは、
ちょっと嬉しいでしょ?
「あたしやっぱりサボる」
こっちに小走りで来てくれたヤヨにそう言うと
「え……なんかごめん。俺悪いこと教えた?」
「大丈夫。もうさぼんないから。実習にかかわらない一般教養の講義だしね」
「ならいいけど」
「今日もうそれだけだから、ヤヨといたい」
「俺4限まであるよ」
「あたしも忍び込めるかなぁ?」
「全然大丈夫」
「やったぁ」
結構駅遠いのに。
二往復もさせてるのに。
ヤヨ全然怒ってない。
それどころか、
ちょっと、
嬉しそう……?
「喉乾かねぇ?」
自販機を指さしたヤヨに、こくりと頷く。
だって、坂道きついもんね。
真っ赤な自販機に立ち寄る。
「芙祐これ?」
”レモネード”を押そうとするヤヨ。
「それ」ってうなずくと
ピッとヤヨがレモネードのボタンを押す。
「よくわかってるね、ヤヨちゃん」
「最近ブーム来てんだろ。この前もその前も買ってた」
「見ててくれてるんだ」
全然見てなさそうなのに。
そういうとこ、嬉しすぎ。
「俺の当てられる?」
「んー、」
なんとなく
「コーラ?」
そう答えた瞬間、
ヤヨ、お茶買ってた。
「おじいちゃん……」
「うざ」
「お茶ブームなの?」
その緑茶ね、
よーく見たら小さい字で
”抹茶入り”だって。
「あ、抹茶?」
「なんか春になると緑のそういうの食べたくなる」
「なにそれ」
「……覚えてないならいい」
覚えてるよ。
中三の春差し掛かった受験結果発表の日
ヤヨに抹茶のお菓子あげたの、
誰だと思ってるの。
「あの時の芙祐って、俺の目にはめちゃくちゃ派手に見えたなぁ」
「かわいかった?」
あたしにやにや聞いてる。
どうせ、「全然」とか
すかした顔でいうんでしょ?って。
「……可愛かった」
ヤヨ、ぼそっと言ってから
お茶を飲みこむ……。
そ、
そんな。
「あ・そう」
そんなストレートに返って来るとは思わなかった……!
なんか、
なんか最近ね?
ヤヨ、多分
あたしのこと好きだよ、結構。
あたし、電車おりて
ヒールだけど頑張って
ヤヨのこと追いかけた。
「ヤヨちゃーんっ!」
あたしの声に振り返る遠くの小さな人影。
「え!?」
ヤヨ、びっくりしてる。
それに、じつは、
ちょっと嬉しいでしょ?
「あたしやっぱりサボる」
こっちに小走りで来てくれたヤヨにそう言うと
「え……なんかごめん。俺悪いこと教えた?」
「大丈夫。もうさぼんないから。実習にかかわらない一般教養の講義だしね」
「ならいいけど」
「今日もうそれだけだから、ヤヨといたい」
「俺4限まであるよ」
「あたしも忍び込めるかなぁ?」
「全然大丈夫」
「やったぁ」
結構駅遠いのに。
二往復もさせてるのに。
ヤヨ全然怒ってない。
それどころか、
ちょっと、
嬉しそう……?
「喉乾かねぇ?」
自販機を指さしたヤヨに、こくりと頷く。
だって、坂道きついもんね。
真っ赤な自販機に立ち寄る。
「芙祐これ?」
”レモネード”を押そうとするヤヨ。
「それ」ってうなずくと
ピッとヤヨがレモネードのボタンを押す。
「よくわかってるね、ヤヨちゃん」
「最近ブーム来てんだろ。この前もその前も買ってた」
「見ててくれてるんだ」
全然見てなさそうなのに。
そういうとこ、嬉しすぎ。
「俺の当てられる?」
「んー、」
なんとなく
「コーラ?」
そう答えた瞬間、
ヤヨ、お茶買ってた。
「おじいちゃん……」
「うざ」
「お茶ブームなの?」
その緑茶ね、
よーく見たら小さい字で
”抹茶入り”だって。
「あ、抹茶?」
「なんか春になると緑のそういうの食べたくなる」
「なにそれ」
「……覚えてないならいい」
覚えてるよ。
中三の春差し掛かった受験結果発表の日
ヤヨに抹茶のお菓子あげたの、
誰だと思ってるの。
「あの時の芙祐って、俺の目にはめちゃくちゃ派手に見えたなぁ」
「かわいかった?」
あたしにやにや聞いてる。
どうせ、「全然」とか
すかした顔でいうんでしょ?って。
「……可愛かった」
ヤヨ、ぼそっと言ってから
お茶を飲みこむ……。
そ、
そんな。
「あ・そう」
そんなストレートに返って来るとは思わなかった……!
なんか、
なんか最近ね?
ヤヨ、多分
あたしのこと好きだよ、結構。