【完】もっとちょうだい。
「……麻里奈ぁ?」

ヤヨがぽかんとしてる。
その顔ちょっとむかつく。

「ヤヨがよくスマホの写真見てるって。ハルキくん言ってた」

「……なにそれ」

「“めっちゃ清楚な黒髪の女子”!」

つまりね
麻里奈ちゃんの代名詞!


「……あぁ。ハルキのやろ」

って、ハルキくんに怒ってる場合じゃないから。

「……麻里奈ちゃんの顔が好きなのはわかるけど、写真みるとか、すっごい嫌」

あたし、半泣きで睨んでる。

「泣くな馬鹿。誤解」

そう言ってスマホ、スライドさせて数秒。

「見てんの、これ……」

って、ヤヨ、ものすごく恥ずかしそうにスマホの画面をあたしに向けた。


どんな可愛い麻里奈ちゃんかと思って
睨むように見たら
って、……え!?あたし?


黒髪に染めてたときのあたしだ。
しかもすっぴんのやつ。


「ヤヨこれ……」

「何も聞かないで」

久々にヤヨのこんな赤面みちゃったかも……。

あたしも、ちょっとつられそうだよ。


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