【完】もっとちょうだい。
「あたしに会いたくて見てたの?」

「……まぁそれでいいんじゃない」

「可愛くて見てたの?」

「……」

ヤヨ、黙ってるけどね。
何回かうなずいてるよ。


「なにそれ……なにそれ」


あたし、ほっぺの筋肉ゆるみまくり。


「つぶれた時、あたしに会いたくなったって本当?」


あたし、にんまり。


「……うるさい」


ヤヨ、真っ赤なんだけど。

「うれしい、ヤヨちゃん」


あたし、さっきまでの殺意
ふきとんで今、
めちゃくちゃ幸せ。


「呼んでくれたらいつでも会いにいくのに」

「つぶれてるようなときに会いたくない」


そうなの?
つぶれるってどんな感じなんだろ。


あたし、自分が超絶お酒弱いの知ってるから、お酒飲まないし。
ヤヨとも飲んだことないんだよね。


「今度一緒に飲みに行こうよ」

「お前は飲むな」

「……はぁい」


あたしがお酒で失敗した、高二の一件を……
お酒のせいで、慶太くんとヤヨ間違っちゃったっていうアレね。

それ、ヤヨ知ってるからね。
むしろ、当事者だしね。
禁酒禁酒。


「スマホ見たいとかいってごめんね」

「いや。でも本当にやましいことはないから信じといて」

「はーい」

あたしにやけとまんないよ。
ヤヨってやっぱり最高の王子様。


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