【完】もっとちょうだい。
4限、まだ始まらないからね。
高まっちゃったし。
あ、精神的にね?

ひとけのない図書館裏で、
ヤヨにぎゅってくっついたら
あたしの背中に回した腕も
ぎゅってしてくれた。


「ヤヨだいすき」

あたしそう言ってね。

「キスしよ」

って、言ったの、ヤヨだよ?

あたし思わず「ここで?いいの?」って聞いちゃった。

「誰もいないうちに」

低い声、あたしの耳元で囁くんだもん。

あたし、どきどきしながらヤヨの方に顔を上げる。

右手繋いで、左はヤヨの腕につかまってね。
ちょっと背伸びして、キス。
すぐ離れた。


「もっとしたいね」
ってあたしが言ったら
「……なにを?」だって。


「……ヤヨのへんたい」

「うるさ」

そう言いながら、ヤヨはあたしの髪を撫でる。

「……二人んなりたいなぁ」

ってちーーーさい声、聞こえたから。


「……なんかヤヨらしくないね」

素直っていうか、ストレートっていうか。
恥ずかしいよ、ちょっと。


「顔赤……」

って、うるさいよ、ヤヨめ。



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