【完】もっとちょうだい。
4限ね、ほとんど手つないでた。
あたし半分寝てたけどね。
数学のレベル越えてる数学の授業だったからね。


「ヤヨってこんなにつまんない授業ばっかりうけてるんだね」

尊敬した。

「うざ。てかそんなつまんなくはなかっただろ。四限とくに」

「え……」

数学マニアめ。

「理系って院に行く人多いよね?」

「うん。俺も行きたいと思ってる」

「え!じゃああたしのほうが先に社会人?」

「でも芙祐看護師だから、すぐ結婚ってわけにいかないし、ちょうどよくね?」

「そうだよね。初心者マークつけて家庭に入ったらなんかアレだもんね」

「うん」

……。

……?

え、今超自然に結婚の話してなかった?

「ヤヨもしかして結婚を前提にお付き合いしてくれてるの?」

「……あ、」

「それとも、誰と付き合ってもそういう感じだった……?」

「それはない」

「ほんとに?」

「……俺は芙祐がいい」

さらっと言った気になってるけど。
真っ赤だよ?大丈夫それ?
あたしもだけどね?

「ヤヨちゃんに愛され過ぎて幸せ」

「そういうの口に出すな」

「へへ」

あたしのだらしない顔ね
ヤヨ、両頬ぶちゅってつぶしてきた。

あたしも仕返ししたら「やめろ」って。
あ。逃げた。



そろそろ帰ろうかって、正門の方へ歩く。

「俺今日バイトじゃなくてサークル行くことになった」

「サークル……あぁ、お花見?」

「うん。新歓って2年が中心になってやるやつだし、一応」

「ふぅん……そっか」

客寄せパンダくんになるの、ヤヨ……。

まぁでも、
今のあたし、十分愛されてる。


ヤヨ、絶対あたし以外みなそう。


うん、許すよ、子猫ちゃんたち。
ヤヨのこと”見るだけ”ならね。


「駅まで送る」

いやいや、それじゃヤヨ、
今日学校と駅まで三往復することになるからね。

「送らなくて大丈夫だよ」

「道迷うと悪いし」

「迷いようがないくらい一本道」

「……黙って送らせろよ」

あ、手引っ張られた。


もしかして、ヤヨちゃん

「名残惜しいの?」

あたしにまぁーって笑ったら。

「うるさい」って。
言うと思ったよ。




家に帰って、
今日のこと思い出して
にやにやしちゃったよ。

あたしもね、
よくヤヨの写真みてるけど。

ヤヨもしてるなんて、
正直予想外だったなぁ。




< 231 / 268 >

この作品をシェア

pagetop