【完】もっとちょうだい。
「弥生さんは下宿ですか?」

一年生の女子がヤヨの隣をキープして言う。
なんかやだ。
だってこの子
ヤヨが好きそうな清楚系。

「いや、実家。一人暮らししたいから金貯めてる」

はじめて聞いたよ、そんな話。
やたらバイトしてるなとは
思ってたけどね。


「一人暮らししたら女の子連れ放題だね!」

って、サークルの友達なのかな?
ヤヨの肩ばしばし叩いてる。

ふつうに痛そう、やめたげて。

「連れ込めたらいいけどなぁー」

つれこめたらいいけどなぁ、じゃ、ないでしょ。

女子たち、キャーキャー言ってるよ。

もしこの中のだれか一人でも連れ込んだら
死刑だけど大丈夫?


「ねぇハルキくん、あたしこれ全然面白くないんだけど」

「いやいや、弥生がこんなに女子と喋りまくってんの、こういう時だけだから!今だけ我慢しよ!おもしろいじゃん」


だから、面白くないって。

「今って、連れ込める相手いるんですかぁ!?」

って、明るそうな一年生が身を乗り出して聞くけどね、
ちょっとヤヨと距離近いから。
離れてよね、子猫ちゃん。


「うん。いっそ同棲したい……」


……どうせい。
ぶっとんできたワードにくらっとしたよ、ヤヨ?


「え!?彼女いるんですか?!」

「いるよ」


「えぇ?いつの間に?!嘘でしょ弥生!」


「いや、ずっといるんだけど」


すっごい悲鳴あがってるからね。
わかってんの?ヤヨ。
あ、またお酒飲んでる、馬鹿。


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