【完】もっとちょうだい。
「弥生さんの彼女って……どんな人なんですか??」

ほら、いい質問きたって、ハルキくん、ほんとに楽しそうだね。

「えー?……悪魔」

あくまぁ!?ってざわついてるよ。

ヤヨちゃん、あとでお説教だよ。


あたしのどこが悪魔なの。
こんなに優しいのに。
天使と間違えてない?


「あー、芙祐に会いてぇ」

って、今のヤヨの声!?

「芙祐って彼女さんですか?」

「うん。可愛いよ」

「うわ、やば。溺愛ですか」

「溺愛ってか、普通にめちゃくちゃ可愛い。写真みる?」


って、だらしない顔して。
初孫自慢するおじいちゃんか、ヤヨは。


「ねぇヤヨすっごい、酔ってない?」

あたしハルキくんの腕ぐいぐい引っ張って、焦ってるのに。

「だから酔ってるって」

ってハルキくんのほほんとお水ごくごく飲んでる。
あ、そのミネラルウォーター、
ヤヨのために持ってきたのに。


ま、いっか。
どうせもうあの人、手遅れな酔い方してるし。


ヤヨの方に視線を戻すと
スマホが暗闇に光っていて、
それを眺める1年生の顔が照らされてる。

「え、美人!」
「可愛い!」
「うわあ、弥生さんめんくいですね!!」


え、この子猫ちゃんたち、
実はめちゃくちゃいい子じゃない?



< 236 / 268 >

この作品をシェア

pagetop