【完】もっとちょうだい。
あたし機嫌よくその様子見てたらね
となりにいたハルキくんがよろけて。


「わ……!」

とっさに抑えたんだけど、結構ふんばったけど、でも重力ってすごいから。
スローで転んじゃった。


ハルキくんが上、あたしが下。

とっとっと…と音がする。


「ちょ……つめた!」

思わず飛び起きた。

「うわ!ごめん!!」


ハルキくんが握ってたミネラルウォーター、思いっきりこぼされた。
あたしのブラウス完全に水没。


「あ、スマホはセーフ」

よかった、電源つく。


「ごめん芙祐ちゃん!」


「ハルキくんは大丈夫?」

って、ポケットからハンカチ出したら、

「ごめん芙祐ちゃん。下着透けてる……」


って目を背けて言う。



「え!」


とっさに隠して縮こまった。

どうしよ、なにも隠すもの持ってない。


かといって、
こんな貧乳を世の中に晒すわけには
いかないからね。


ハルキくんは自分のパーカーを脱いであたしに被せた。


「これ着てて」

「ありがと」

「いやほんとにごめん。見ちゃったし」

「それは言わなくていい」


袖に腕をとおし、チャックをあげる。

寒いけど、でも。ヤヨとお揃いだ。
これ着れたのは、ちょっとくらいは嬉しい。


「芙祐ちゃん似合うね。うちのサークル入っちゃえば」


「こんな飲みサー絶対いや」


「普段はフットサルまじめにやってるから!」


「うそだぁ」


「ほんとほんと。今度弥生の練習してるとこ見にきたら?」


「え、それはいく!行きたい!」

って、あたしたち、
ちょっと騒ぎすぎたのかな?



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