【完】もっとちょうだい。
side 坂木弥生
***
この前旅行行こうっていってだいぶ経ったけど、
試験も終えた夏休み。
レンタカーもかりて、
助手席に乗る芙祐は
運転する俺をじーっと見ては
「ヤヨちゃんカッコいいね」
と緩みっぱなしの笑みだ。
「安全運転でいきたいから……あんま見んな」
超絶 かもしれない運転で
走ってるからな、今。
今日は温泉旅行。
芙祐のリクエスト通り、
部屋に露天風呂が付いてるとこ。
「じゃあ後で、温泉ついたら存分に味わおー」
存分って……。
「なにを」
一応、俺は聞いてみたね。
「ヤヨをだよ?」
どう味わうんだか。
いつも、どうせ
恥ずかしがるくせに。
「露天風呂、ほんとに別々ではいんの?」
「当たり前だよ……」
ほら、な。