【完】もっとちょうだい。
「到着〜」
車から降りて、両手を上げて伸びをする芙祐。
麦わら帽子にワンピース。
何着ても俺は、こんなふうに見惚れるんだろうな。
「ヤヨちゃん、どうしたの?」
「あ、ううん。運転代わってくれてありがと」
「ぜんぜん!」
ニッと笑って俺の腕を掴む。
「ねぇ見てヤヨ、海綺麗!」
指差す先、煌めく水面は
地元じゃ見たことないくらい
澄んだ青色をしてる。
「すごいな」
「遠出した甲斐があるね」
トランクから出した荷物を持って海の家に入る。
更衣室、芙祐がなかなか出てこない。
女のって、着にくそうだもんな。
芙祐とは高2ぶりの海になる。
あの時、まだ付き合うとか全然なくて。
ただ、俺が芙祐を好きで。
…….まさかこんなふうに
ちゃんと、付き合えるとは。
人生ってどうなるかわかんないもんだなぁー。
壁にもたれてぼーっと
綺麗すぎる海を眺めていると
「ません……!あの!すみません!」
ずっと呼んでたような荒げた声にビクッとした。
え?俺?!
「は、はい?!」
壁から背を離して目を向ける。
女子大生っぽい3人組が立っている。
「写真撮ってもらってもいいですか?」
なんだ。びっくりした。
なんか悪いことでもしたのかと思った。
「あぁ、わかりました」
スマホを受け取って構えると
「違う違う!みんなで撮ろう!」
みんなで?
何言ってるんだろ?と思っていたら
スマホを奪い取られて
自撮り棒にとりつける女子大生。
「こっちこっち!」
そのど真ん中に手を引っ張られ、
ピースを構えようとする女子大生の
間に引きずり込まれた。
「え?!そういうこと?いや、俺いいです」
逃げたよ、
怖いわ。
なんだ今の。
「ヤヨちゃん……?」
その鬼の形相も怖いわ。
怖いけど……
「何逆ナンされてるの!」
怒った顔。の、下。
「……可愛い」
つい出てしまった声。
同時に俺の頬も緩んでるんだろうな。
「……あんまり、見ないで」
サッと、カバンで隠す仕草。
なにもかもが可愛すぎんだろ、こいつ。
なんでこんなにずっといるのに
まだまだ俺の心臓は
どんどん急かされていくんだろ。
そろそろ慣れろよって思うけど
ドキドキドキドキうるさいくらい。
芙祐から視線を逸らして、
「絶対一人で歩くなよ」
そういって手を引く。
「ヤヨこそ、もう逆ナンされないで」
「されてない」
「嘘つき」
芙祐の方をチラッと見ると
芙祐もこっちをチラッとして
すぐに目をそらす。
「…….なんか緊張する……なんでだろ」
「俺も」
二人で笑いながら、海水浴客であふれている砂浜を歩く。
車から降りて、両手を上げて伸びをする芙祐。
麦わら帽子にワンピース。
何着ても俺は、こんなふうに見惚れるんだろうな。
「ヤヨちゃん、どうしたの?」
「あ、ううん。運転代わってくれてありがと」
「ぜんぜん!」
ニッと笑って俺の腕を掴む。
「ねぇ見てヤヨ、海綺麗!」
指差す先、煌めく水面は
地元じゃ見たことないくらい
澄んだ青色をしてる。
「すごいな」
「遠出した甲斐があるね」
トランクから出した荷物を持って海の家に入る。
更衣室、芙祐がなかなか出てこない。
女のって、着にくそうだもんな。
芙祐とは高2ぶりの海になる。
あの時、まだ付き合うとか全然なくて。
ただ、俺が芙祐を好きで。
…….まさかこんなふうに
ちゃんと、付き合えるとは。
人生ってどうなるかわかんないもんだなぁー。
壁にもたれてぼーっと
綺麗すぎる海を眺めていると
「ません……!あの!すみません!」
ずっと呼んでたような荒げた声にビクッとした。
え?俺?!
「は、はい?!」
壁から背を離して目を向ける。
女子大生っぽい3人組が立っている。
「写真撮ってもらってもいいですか?」
なんだ。びっくりした。
なんか悪いことでもしたのかと思った。
「あぁ、わかりました」
スマホを受け取って構えると
「違う違う!みんなで撮ろう!」
みんなで?
何言ってるんだろ?と思っていたら
スマホを奪い取られて
自撮り棒にとりつける女子大生。
「こっちこっち!」
そのど真ん中に手を引っ張られ、
ピースを構えようとする女子大生の
間に引きずり込まれた。
「え?!そういうこと?いや、俺いいです」
逃げたよ、
怖いわ。
なんだ今の。
「ヤヨちゃん……?」
その鬼の形相も怖いわ。
怖いけど……
「何逆ナンされてるの!」
怒った顔。の、下。
「……可愛い」
つい出てしまった声。
同時に俺の頬も緩んでるんだろうな。
「……あんまり、見ないで」
サッと、カバンで隠す仕草。
なにもかもが可愛すぎんだろ、こいつ。
なんでこんなにずっといるのに
まだまだ俺の心臓は
どんどん急かされていくんだろ。
そろそろ慣れろよって思うけど
ドキドキドキドキうるさいくらい。
芙祐から視線を逸らして、
「絶対一人で歩くなよ」
そういって手を引く。
「ヤヨこそ、もう逆ナンされないで」
「されてない」
「嘘つき」
芙祐の方をチラッと見ると
芙祐もこっちをチラッとして
すぐに目をそらす。
「…….なんか緊張する……なんでだろ」
「俺も」
二人で笑いながら、海水浴客であふれている砂浜を歩く。