【完】もっとちょうだい。
漫画喫茶の中で、お昼ご飯食べてから、こたつに入って、雑誌を広げてマッタリ。



メンズのファッション誌のイケメンくんたち、すっごくオシャレだけど。



ヤヨもね、私服カッコいいよ。



グレーのニット。下から白シャツちょい見せしてる。パンツは黒。
外では黒いチェスターコート羽織って、ワインレッドのマフラー巻いてた。


ね、可愛いの、ヤヨ。

細身にゆるっと着る感じ。
もう大好き。


「ツリーって何時からだっけ?」


「5時だよ」


「まだ時間あるな。カラオケ行く?」


もちろん。


カラオケで歌ってたら
あっという間に5時前。


会計を済ませて、これからツリーを見に行くんだけど。


自動ドアが開いた瞬間、強い風が一気に流れ込む。



「さむーーい」


「そんな短いの着てくるからだろ」



「これ可愛くない?」


「……まぁ」


なにその反応。


ヤヨは清楚好きだからね。たぶん清楚ではないもんね、これ。


ピンクのサックワンピース。一目惚れしたんだもん。


黒のストッキングに、クロスベルトのパンプス、ヒール高めのやつ。それ合わせたら可愛いかなあって思って。


グレーのコート、可愛いから着てるけど超寒い。


ていうか、可愛いって言ってほしいんだけど。お世辞でいいし。



「寒がり」


「ヤヨ薄着なのに強いね」


「芙祐よりマシ」


乙女は寒さよりファッションを優先するもんなんだよ。


ヤヨにべーってしてから、道を曲がる。寒いからベレーもかぶろ。


けどヤヨの手なんか繋がないよ。



「なんだよ」


「……。ヤヨはどんな服が好きなの?」



「別に似合えば何でもいいんじゃね」




そういうことじゃないよね。

いいけどね。


やっぱり、寒いからヤヨの手をとって、


繋ぎたくなったからじゃなくて寒いからヤヨと手を繋いで。


ツリーの点灯式会場に向かった。



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