【完】もっとちょうだい。
彼氏の修行(SIDE 弥生)
SIDE 弥生
***
「ヤヨ、先にお風呂入っていいよ」
って、芙祐が新品のスウェットとか色々用意してくれて、強制的に脱衣所まで押し込まれた。
「これシャンプーとかね、この辺の使って」
はいタオル、ってこいつ可愛すぎか?
「あたしと一緒にはいる?」
にやりと笑う芙祐が言う。
「……。バカか」
冷静に流す。一呼吸おけば流せることに今気づいた。
「かわいくなぁーい」
芙祐の一挙一動に躍らされて、ナメられるのは嫌だから。
とりあえず追い出した。
つーか、可愛いとか言われても全然嬉しくないから。
広めの脱衣所。大きな一枚鏡、その周りの棚に香水やら化粧品が立ち並ぶ。
……芙祐が住んでそうだわ。住んでるんだけど。
シャワー浴びながら、ため息。
この状況にずっと落ち着かないのは確実に俺だけ。
泊まるんだけど。今日。芙祐ん家に。
やばくね?
やばいだろ。
他にも泊まったことあるやついるらしいし。本当にありえない。むかつく。芙祐もそいつも。
そうやって男泊めてんのに、経験無しとか。
どんだけあいつ悪魔なんだよ。