【完】もっとちょうだい。

「こっちむいて、ヤヨ」


甘えるみたいな声だして、
なんなんだよお前。



「あ、やっと向いてくれた」


「なに」


「キスしよ？」


芙祐って、なんでこうなんだ。



「お前さぁ……」



……わかってる。
単純にキスしたいだけなんだよな。



はぁ、とため息をついた。


冷静に対応しよ。



芙祐だけは、大事にしたいから。




ほんの1.2秒。唇を重ねた。



子供を撫でるみたいに、髪をワシャワシャ撫でて「寝ろ。おやすみ」って


芙祐にまた、背を向けて、寝たフリ。


3分くらい経った頃？



「……だいすき」



芙祐が俺の背中に抱きついた。



「ヤヨ起きてるでしょ？心臓はやい」



……本当、なんなのこいつ。


こっちの必死さくらい目つむってろ。




「……暑いから離れて」


「やだ」


いつものように、楽しんでるだけ。
悪魔。最悪。
どーすんの、俺。