【完】もっとちょうだい。
また、ちゃらい。冗談を。

って思ったそのとき。


「別れねえよ」


って後ろから声がして


振り返ろうとした瞬間には
ぐいっと肩を引き寄せられてた。


……ヤヨ。
しかも、息切れてる。


来てくれた。
自分から出て行ったくせに、
かなり嬉しい。


そんなヤヨは、敵意丸出しの目で慶太くんを見ていて。


慶太くんは、それを見てクスリと笑う。


そしてあたしの耳元に
ふわっと近づいて、



「よかったね、芙祐ちゃん。追いかけてきた」


そう、小さく、低い声を落とした。



「……帰るなら、俺が送る」



ぎゅっとあたしの掌を握るヤヨ。


ひっぱられるように、歩き始めた。




「芙祐ちゃん、がんばれー。仲直りできなかったら、慰めてあげるよ!」


また、慶太くん得意の
冗談を。よくない冗談を!


「しーーーっ!!」



唇に一本指立てて振り返る。


これ以上、ヤヨの機嫌損ねたら、危ういのに。



焦るあたし。



「あいつのこと気にせず歩け!」


案の定怒ってるヤヨ。



いたずらっぽく肩を震わせている、慶太くん。



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