空色(全242話)

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to:十和
subject:アユです
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話したい事があるの
昼間ならいつでも大丈夫
だから……
連絡待ってます

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最後のボタンを押すのに、どれだけ勇気がいっただろう。
こんなに、メールが怖いと思ったのは初めてだった。

家に帰ってすぐ送ったから、時刻は1時近い。
今更だけど、夜中に迷惑だったかなぁ、と反省する。

もしかしたら、疲れて寝ているかも知れない。
ウトウトしているとこかも知れない。

考えれば考える程、深みにはまる。

夜の仕事をしている故(ユエ)に十和との連絡も上手くいかない。

それすらも、恨めしく思った。

《ピーピーピー》

と、突然鳴った携帯に驚き、肩が持ち上がる。

十和からだ。

……怖い。
怖くて見れない。
十和は、どういう想いで返信してきたんだろう。

怖い、怖い、怖くて堪らないよ。

ここに美香がいれば、先に見てもらう事が出来たのに……

どうしようもない事を悔やみながら、一つずつゆっくりと、確実にボタンを押していく。

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from:十和
subject:こんばんわ
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いきなりのメールで驚い

昼間はアユの寝る時間だ
ろ?
平気?

辛いだろうし…
今から電話しようか?

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いつもの優しい十和だ。
私を気遣ってくれる、優しい十和。

だけど、私は十和の顔が見たいんだ。
会って話をしたいんだ。

十和は会いたくない?
電話のが気楽?

ねぇ。
どうなのよ……
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