空色(全242話)
少し空が明るくなるくらいまで、ベッドで他愛のない話をして、気付いたら眠ってしまってた。
結局、キスも1回。
セックスも無し。
「イチャイチャ」とか「ラブラブ」って感じではないけど、十和といるのは心地よくて好き。
ずっと、傍にいてね……?
『てめぇ!! 何やらかしてんだよ!』
私と美香が出勤したばかりの夕方7時。
店内に、オーナーの怒鳴り声が響いた。
声がするのは、個室の方。
客とトラブル?
それとも……
『すみませ……ッす……ませんッ』
薄暗くて、よく見えないけど、相手は店の女の子だ。
……可哀相に。
まだ下着すら、着けていない。
『いいか!? お前らが下手だと、客はイケねーんだよ! それ、わかってんのか!?』
あまり近くで見ると、目をつけられるかも知れない。
ってか、近くで見なくても、丸聞こえなんだけどね……
『下手なら下手で、気取ってんじゃねえ!! 手や口が駄目でも、股があるだろうが!?』
「本番無しの優良店」
よくそんな事が言えたもんだ。
今のは完全に本番を要求してるだろ。
『お前らも、人事だと思うなよ』
と、オーナーは標的を代えてきた。
店の人間、全てに……
『せっかくだ。 この機会に俺が仕込み直してやる』
……え?
『おい、藤原』
『はい。 なんでしょう』
『一番の大部屋を用意しろ。 今すぐだ』
え、嫌だ。
オーナー、何をする気なの?
もしかして、また、私達を?
『女は全員、そこに集合だ。 男は、客が入れないようにしとけ』
そんなの、そんなの……ッ嫌……