空色(全242話)
少しお酒を飲んで、他愛のない話して。
それから十和が眠くなったから、私も帰った。
DVDの事とか、聞きたい事いっぱいあったけど、何故か聞けないままだった。
十和を責めたら、この恋が全て終わるような気がして、怖かったんだ……
『おはようございます』
次の日になって、アパートまで迎えに来た黒服。
あまりよく知らない人だった。
いつも、それは幸成の仕事だったのに、何故だろうと不思議に思った。
だけど乗らないわけにいかないから、とりあえず後部座席に座る。
『……幸成は?』
バックミラーに写る男に尋ねると、男は静かに首を振った。
『何かあったの?』
『……オーナーに呼ばれて、早めにお店に』
言いづらそうに、目を伏せる。
何?
何なの?
【貴様、何を企(タクラ)んでる】
昨日、藤原はそう言って幸成を怒鳴り付けた。
まさか今度はオーナー直々に幸成を探りたいの?
質問という、名ばかりの拷問を……?
幸成の事、前ほど嫌いじゃないし。
助けてもらった事も沢山あるし。
なにより、美香の大好きな人だから、見てみぬふりは出来ない。
『ッ急いで! 早くお店に行きたいの!』
私が行ったって、何が出来るかわからない。
何も出来ないかも知れない。
だけど、
だけど……ッ