空色(全242話)
【いなくなった父の、手がかりを探しに】
真っ直ぐ私を見つめた、あの強い目が忘れられない。
十和は、ここに自分の原点を捜しにきた。
『お前の母親が自殺した事を責めるんだ。 あの男は』
ゆっくりと進むオーナーの話。
内容は、露骨。
『あまりに煩(ウルサ)いから黙らしてやった。 ここを、こうして』
親指を1本立てて、喉元にスッと走らせる。
「切ってやった」
そんなふうに言ってるように見えた。
『あの女と、その子供。 両方欲しかったけどな…… 死んでしまったものは仕方ない』
私がどれだけ弱かったか、思い知る。
十和の本心を聞いただけで逃げ出してしまった私は、本当に弱かった。
『言いたい事は、それだけか?』
彼は、強い。
顔色1つ変えない。
『俺は、あんたとは違う。 俺の父親は、あんたじゃない』
オーナーを見つめる強い目も、決して反らさなかった。
『俺がO型だと信じてるのか? 俺がO型だと言っただけで、あんたはアッサリと信じられたのか?』
その言葉に、表情を変えたのはオーナーと、私。
『俺はAB型だ。 O型のあんたからは、絶対に生まれない血液型だよ』
どういう事?
十和は、黒服の男の息子?
それともオーナーの?
……あれ?
微かに聞こえるこの音は……?
『それより、この命はったゲームも、もう終わりだよ』
段々と、音が近付いてくる。
テレビでよく聞く、聞き慣れた音……
『ゲームオーバーだ』