空色(全242話)
『来い。 俺が直々に調べてやる』
オーナーは、それだけ言うと背を向け去っていく。
方向は、真吾くんがなだれ込んできたあの部屋……?
『おらッ さっさと行くんだよ!!』
すくんで動けない私の腕を黒服の男達が引っ張り歩を進める。
嫌、嫌だ…ッ
誰かッ!!
『ッ嫌ぁ――!!!!』
『お前は、自分で歩く事も出来ないのか』
部屋に入った途端の第一声。
刃向かう気すら起きなかった。
『ったく、ノロノロしてんじゃねーぞ!!』
マネージャーの藤原が扉を開けると同時、私のお尻は誰かに蹴られ、部屋に転がり込んだ。
薄暗い部屋の中、少ない証明で浮かびあがったのは、
ロープを手にしたオーナーの姿……
右手でロープを鞭(ムチ)のように操り、部屋の中には風を切る音が響く。
頭のてっぺんから爪先まで。
さぁー…と血の気が引くのが解った。
と突然、藤原が後ろから私の髪を掴んだ。
ガクンと首は反り返り、視界はオーナーから天井へと移る。
『なぁ、お前は早苗の体を見たか?』
低く響くオーナーの声に私はフルフルと首を振る。
するとオーナーは私の首筋に指を這わせて言った。
『ここに着いていたんだよ。 あの馬鹿の印が』
……キスマーク。
本当に馬鹿だと思った。
何故そんな証拠を残してしまったんだ?
『おい、藤原』
オーナーは持っていたロープを藤原に投げる。
それと同時、藤原は私の手首を後ろ手にきつく縛り上げた。
『だからな、調べてやったんだよ。 他にも痕がないか』
薄気味悪い笑い声。
自由に動かない身体。
殺られる?
ヤられる?
どちらにしろ良い方向には進まない。
『さぁ、お前の体は綺麗かな……?』
そのオーナーの言葉を合図に、男達は私の着ていたベビードールに手をかける。
『どうぞ見て下さいって言うんだよ!!』
言えない。
言いたくない。
『やれ』
最後の命令が下る。
それと同時に、ベビードールは左右に裂けた。
男達の手によって……