空色(全242話)

十和が帰った後、急に眠気が襲い、気がつけば次の日のお昼になっていた。

窓の外は曇り空。
いつになったら晴れるのだろう。

次に晴れた日。
十和はまた私を誘ってくるだろうか。

不安?
期待?

よく解らない感情が心の中にある。



とりあえずシャワーを浴びて、冷蔵庫に入っていた麦茶を一気に飲んだ。
届いたばかりでキッチンに置きっぱなしだった通販カタログ。
それを手にし、ベッドへもぐった。

ワンピース、コート、ブーツ。
今年の流行りをチェックする。
こんなもの頭に入れたって役に立たないだろう。
どうせ、家と店を行ったり来たりの毎日なのだから。

『可愛ー』

頭で理解していても、可愛い物には、やっぱり目がいってしまう。

可愛いニットのふわふわミニワンピ。
見事に私の心を打ち抜いた。

持っているショートパンツと合わせたら、きっと可愛いだろうな。

でも着ていくような用事が無いし。
店に着ていってもすぐに脱いでしまうし。

【また誘っていい?】

十和、か。
十和は本当に私を誘ってくれるだろうか。
このワンピースを見て、何て言うだろう。

「可愛い」を期待する私は馬鹿みたい?
でも十和なら嘘でも言ってくれそうな気がする。

買うか?
やめるか?

【俺もすっげー楽しかった】

やばい。
奴の最後の笑顔が消えない。

脳内が、奴に支配される。
十和以外、考えられない。

何で?
どうして?

私は……
どうしてしまったんだろう。
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