おひとつ、屋根の下ー従兄弟と私の同居生活ー
02 二年ぶりの会話、二年ぶりの唇への37℃
…――キスの後。
私は達久が大嫌いになった。
あんなに大切で、愛しかった従兄弟だったのに。
唇が離れた瞬間、私は達久を力いっぱい突き飛ばした。
停滞していたはずの涙は堰を切ったようにぼたぼた流れていた。
『最低…!最低!!!』
何度も何度も罵声を浴びせた。
どうして。
どうしてなの。
あんな事実を知った後にどうして"従兄弟"が私にキスなんてするの。
『ミコ姉、待っ――』
『達久なんか大っっ嫌い!大嫌いだ……!』
無我夢中で境内を飛び出した。
一段飛ばしで神社からの階段を駆け降りた。
知らない街だった。
周りに誰もいなかった。
セカイに多分、二人だけだった。
けれどそのセカイは、私にはもう必要無かった。
『ミコ姉……!』
達久の私を呼ぶ声が耳にこびりついていた。