おひとつ、屋根の下ー従兄弟と私の同居生活ー
13歳の男の子って、こんなカンジなんだな。
ぼんやり彼を見つめながら、そんなことを思った。
男くさくない、子供っぽくて日なたの匂いがする。
それとも彼だからだろうか。
彼だから、こんなにも柔らかくて優しい空気を纏えるのだろうか。
ミコ姉。
も一度呟くように私を呼んで、
彼は私の頬を撫でた。
中学一年にしては低めの身長。お勉強のできる、お利口さんな顔。
黒縁の眼鏡は買って貰ったばかりだからか似合っていなくて、少しイビツだ。
ただ、かわいいなって思った。
優しくて愛しい、大事な大事な従兄弟だ。
涙を拭われながら、はにかんだ。
ありがとう、って伝えたかった。
ただ、それだけだった。
逆に言えば、それだけの感情しか私には無かった。