どんな君でも愛してる
 (私、監視されてる?)

 キョウの視線が怖くなり思わず目を反らし、暫くしてコソッと見ると、キョウはお客さまの対応をしていた。

 心の中で、ため息をつく。

 もうひとつの裏の仕事に関しては、他言無用で、どうしてする必要があるのかは、言われなかったし、聞かなかった。

 でも、いくらあのおじいちゃんの頼みでも、引き受けるんじゃなかったような気持ちも芽生えていた。

 そんな緊張の中、初出勤が終わったせいか、業務後にキョウに出されたお酒が強いものとも知らずに飲んでしまい、カウンターで意識を手離した。

「キョウ。」

 カウンターで眠っている瑠璃を見ながら安堂は話しかける。

 キョウは、店の奥にあるシャワー室から出てきたようで、髪の毛から水滴をポタポタ落としながら安堂のところまで歩いてくる。

「また、店でシャワー浴びて……。お客様に対してのシャワーなのに、全く。」

「従業員も使っていいだろ、別に。それに一刻も早く、髪の色落としたい。」

 
 

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