どんな君でも愛してる
裏missionースパイは誰だー
 時は遡り、数ヵ月前。

 アッパーフロア内の会社に勤める若くて実力もある男性社員が8名、sweetroomに集められた。

 その中にアッパーフロアの最上階に会社を持つコンサルティング会社副社長の東雲響介の姿もあった。

 目の前には国内外に相当な資産を持つ、瑠璃に声をかけた初老の男性鳳凰財閥の総帥と、秘書の八木の姿が。

「これで全員です。」

 八木は総帥の後ろから、男性たちに席に着くよう合図をする。

 集められた皆は促されるまま、近くのソファーに各自座っていく。

 響介は、みんなを見渡し、今から何をするつもりなのか総帥と八木の顔を凝視し、検討もつかない内容を頭で考える。

 投資顧問会社、弁護士事務所、IT関連会社から各自2名ずつ、それから自分の下で働く年下の男性が1名呼ばれており、何故この男も一緒にいるのか何故だが、響介が嫌いな男でもあった。

 先程から、横に座りながらニヤリと笑われ、いい気持ちにならない響介は、その男から視線をそらした。

「本題に入りましょう。まず、発表をさせていただきます。総帥は、今年で隠居するそうです。」

ー隠居ー その言葉に、皆が目を見開き、ギラツかせるのがわかる。
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