どんな君でも愛してる
「それにしても、随分、官能的な格好だね?」

 そう言われて初めて自分の格好を見ると、瑠璃は赤面して咄嗟にカーテンの影に隠れ、"ごめんなさい"と力なく呟いた。

 身に付けているバスロープの胸元が緩みチラリと胸が見え隠れしており、足元もはだけていた。

 慌ててバスロープを整えていると、近くに気配を感じ、黒髪の男性が近くにいるのがわかると、さらに距離が近づき、ふと身構えてしまった。

 それを感じとったのか、男性はカーテンから見え隠れしている瑠璃の太股をさらっと撫でたのだ。

 びっくりして声も出さずにいる瑠璃に、男性はクスクスと笑った。

「隠れても、足見えてるよ?……そこに服準備したから着替えたら食事にしよう。」

 それだけ言うと、さっさとベットルームを出ていった。

 瑠璃は放心状態になりその場にしゃがみこんだ。男性にこんなことされたことない瑠璃は、撫でられた場所を擦ってしまう。

 瑠璃はよく男慣れをしていると思われてしまう。

 ピアニストになり外国の酒場などで弾いていたこともある。その時、酒を浴びた男性のあしらいかたを教えて貰ったのがきっかけで、よく誤解されるし、瑠璃自身も男性に慣れた振りをすることも多いのだ。

 仕方のないことなのだが、それはルリーの時であって、瑠璃自身はそんな仮面を被ることはない。
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