どんな君でも愛してる
「あなたの名前は?昨日もエレベーターで助けて貰ったのに、お礼言えなくて……ありがとうございます。」

 考え込んでいた瑠璃は、ハッとしてお礼を言った。

「俺は、東雲響介。」

 そう言われて、瑠璃はただ頷くだけで反応を示さず、クロワッサンをパクパク食べ続けているため響介はもう一度名前を伝えると"はい、2回言わなくても分かってますよ?"と話すため、響介は、違和感を覚えた。

 ー東雲響介ーと名乗れば普通ならば、目の色を変えても良いようなもの。周りのみんなはそうだったから。

「ここのアッパーフロアにあるコンサルタント会社に勤めてる。」

 そこまで言っても瑠璃は、興味なくひたすら朝食を摂るため、逆に響介の興味をひいた。

 また、瑠璃はそう会話をしながらも彼を観察し続ける。

 barに飲みに来るのだから、この男性も査定対象の人間だと自分に言い聞かせ、彼から話されることを頭にたたき入れる。

「瑠璃は、barのピアニストなのにお酒弱いんだね。家は近くなの?」 

 そう尋ねられ瑠璃は"ここのホテル"と答えたため、響介は、驚いた顔で瑠璃をみた。

「瑠璃はお金持ちなんだ。」

「いえ。普通だとおもいますけど。契約するときに住む場所も提供してくれると言われて……。まぁ昨日、帰ってないから部屋は分からないんですけど。」

 
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