どんな君でも愛してる
*******

「奏子さん、お酒強いですね!」

「あら、ルリーあなたはそうとう弱いわね。」

 時間がたつに連れ、二人は意気投合して、カウンターで奏子は辛口のワインを、瑠璃はレモン水を飲んでいた。

「昨日の夜、思い出すので……。」

「昨日の飲み過ぎたの?」

「……はい。」

 そんな話をしていたら、響介達がいるソファー席から"奏子せんぱい~"と声が聞こえて、奏子が嫌な顔を一瞬し、"めんどくさいのが来た"と呟いた。

「せんぱい!!一緒に飲みましょうよ~。」

「私はルリーと飲んでるからいいのよ。みんなと飲みなさいよ?」

 そう軽くあしらうが中々、その場から離れず視線は瑠璃に向けられる。

「コンサルタント会社、東雲社長の第3秘書の暁めぐみです。ピアニストさん、よろしくお願いいたします。」

 ニコリと笑うものの、その目は笑っておらず、敵意を向けられてるのが分かるが、その理由が分からず、頭だけ下げると、彼女はまたみんなの方に戻っていった。

「あの子ね、狙ってるのよ。花嫁の座を。」

「は?」

 ぼそりと呟いた奏子の言葉に、意味が分からない瑠璃は突拍子もない声をあげてしまう。
< 27 / 69 >

この作品をシェア

pagetop