どんな君でも愛してる
 8人の若い男性たちの名前を聞くと、その中に響介が苦手とする自分の会社の部下の名前があったのに驚いたが、響介本人が一番驚いてるはずだからと、奏子はあえて何も言わなかった。

「一番の問題はやっぱり花嫁?」

「まぁな。結婚も興味なければ女も欲しくない。」

「はぁ。あんたまさか童貞とかホモとかじゃないでしょうね?」

「んなことあるか!」

 近くにあったベットにどかりと座り、盛大にため息をつく。

「いっそのこと抱いてしまうか…。一気に落としにかかっるってても……。」

 ぶつぶつと呟く響介の声は奏子には聞こえなかったが、あまり良いことは考えていないだろうと、その顔が物語っていた。


******

"姉貴?" そう呼ばれて、ふと自分が考えて込んでいたのに気がついた。

「……スパイがあの子として。花嫁はどうするの?総帥が納得しないと行けないんでしょ?」

「暁めぐみ。」

「えっ?」

「なら、総帥が納得するんじゃないかと。」

 奏子は意外な名前が出てきて驚いた。家柄も確か、仕事は出来るし、華やかで綺麗だ。

 だが、それは見た目だけであって、何を考えているか分からないし、自分より格下と判断すると態度が一変するのを何度も目の当たりにしている奏子にとっては、あまり賛成出来るものじゃない。
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