どんな君でも愛してる
 でも、響介が言うように総帥が納得する相手だと言うことははっきり分かる。

 そう思うものの、暁めぐみよりあの子がいいなぁと思ってしまうのだ。

ーピピピっピピピっー

「あっ俺だゎ。……もしもし。……あぁ。俺の部屋にあるけど。……あ~なら、俺が行くから。部屋教えて?………あぁ、分かった。」

 携帯を切りながら何故かニヤニヤしている響介を、怪訝な様子で見ていると、ふいに、目があった。

「瑠璃から呼び出しだ。行ってくる。」

「楽しそうね?」

「そりゃもう。絶対口を割らせてやる。」

 "じゃ行くわ。"と部屋を出る響介の姿は、今から好きな相手に会いに行くようにワクワクしているように思ってしまう、奏子であった。

ー42101号室ー

 響介は、瑠璃が住んでいる部屋の前にたち、ノックした。

 しばらくして出てきた瑠璃は髪の毛をおろし、いつもはしない赤ぶちの眼鏡をしていた。

「……どうも。……荷物ください。」

 部屋には入れるまいと、荷物だけ受け取ろうとする姿勢にイラッときた響介は、ドアを閉めさせないとドアの淵を掴んだ。

「わざわざ届けたのに。こんな夜遅く。飲み物のひとつもないわけ?」

 瑠璃は、考え込み暫くしてから渋々といった感じで"どうぞ"と、招き入れてくれた。
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