どんな君でも愛してる
「あっ……!!ごめんなさい、びっくりしちゃって…。」

 どうにか身をよじり、この状況をなんとかしようと試みるのだが、響介の手は腕から腰に周り、抱き締められるような格好になり、瑠璃は固まってしまった。

 今はピアニストのルリーでなく、ただの瑠璃だ。

「あの……。離してください。」

 この状況を招いたのは、部屋に入れた自分だが、こんなに近くに男性を感じるのは初めてで、思考回路が可笑しくなる。

 固まっていた力が抜けるのを感じた響介は、心の中でガッツポーズを取りながら、次の行動・セリフをシュミレーションする。

 抱きついている瑠璃を抱え、ベットに移動し、ゆっくり二人で雪崩れ込む。

 何が起こるか想像出来るシチュエーションに、瑠璃が慌て出すが、響介も逃がさないようにキスをし、口をふさいだ。

 あまり経験がないのか、瑠璃はすぐに顔を赤らめるのが分かる。

 きつく結ばれていた口が開いた隙に、舌を入れ瑠璃の舌を絡め取ろうとすると、体から力が抜け、ぐったりとし涙目になっていた。

 初めは、やり過ぎたかなと思っていた響介だが、そのうち顔を赤らめ息づかいも荒く、トロンとした瞳に変わっていく瑠璃をみて、これは"いける"と確信したようだ。

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