どんな君でも愛してる
 もう、何度目かのキスにはすっかりと瑠璃は慣れて、角度を変えらればそれに応じ、唇が入ってきたら絡めあうことを覚えた。

「……もう、髪の毛拭くよ。」

 キスが終われば二人は見つめあい、言葉を交わす。

「髪……所々、光ってる?」

 その言葉に響介はハッとして、"洗面所借りるわ"と洗面所に向かっていった。気にも止めずに瑠璃は見送った。

 洗面所に入り鏡を確認すると、確かに色がちゃんと落ちておらず所々が光っている。

 洗面所に頭を突っ込み乱暴に洗い流し、近くにあったタオルで頭を拭いた。そして、鏡を覗き込み、慌てた表情をしてないか確認し、顔を整えた。

「あぶなかった。」

 その声がやけに、木霊した感じがした。

*******

 二人で一つのベットで、素肌で触れあいながら響介は、barでの会話で気になっていたため、それとなく明日の予定を聞いてきた。

「明日は、知り合いにあうの。」

「へぇ。」

「もう何年も会ってないのに……連絡がきて。」

「……ふ~ん。俺も明日は予定がある。」

「そう。」

 決して恋人ではない会話が成立するのは、お互いが曖昧な関係を続けているからだろう。

 そう、ふたりに週末の予定はないのだから。
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