どんな君でも愛してる
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 翌日、知り合いに会う前に瑠璃は八木に呼び出された。

「こちらです。」

 おじいさんの姿はなく、前回おじいさんの後ろに立っており座ろうとしなかった八木が喫茶店の椅子に座って待っていたことに驚きながら、瑠璃は八木の前に腰を下ろした。

「飲み物何にしますか?」

「紅茶で……。」

 手をさっとあげて注文する姿を、なんとなく秘書っぽいなと思いながら見ていると、すっと目の前に資料が置かれた。

 必要以上に話さないが、八木が急かしているような気がして、目を通すと8人の男性の名前が書いてある。しかも聞き覚えがある名前だ。

「面識はありますか?」

「えっはい……上の四人は、王子さまと呼ばれている人ですよね。報告書にもあげたと思いますが……。それに…。」

「他に面識がある方がいらっしゃいますか?」

「高萩浩一……知り合いですが…。」

「どんな知り合いですか?」

「どんなって……。」

 言葉を濁す瑠璃に、これ以上追求してくることはなかったが、彼が響介の部下にあたると聞いて、瑠璃はびっくりした。そして、8人の名前を頭に入れて、接触があり気になる言動があれば報告してくれと言われ、意味が分からないが頷いた。



 
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