どんな君でも愛してる
 喫茶店で八木と会ったのはほんの10分そこらだったが、その様子をたまたま近くを通りかかった奏子が驚いた表情で見ていたとは瑠璃は気がつかなった。

「えっ!?……何で秘書の八木さんとあの子が?」

*******

 瑠璃は昨日、部屋の電話に掛かけてきたー高萩浩一ーに会うため、約束のカフェに来ていた。

「よっ?」

「……あんたがB.C. square TOKYOで働いてたとはね。ビックリだわ……。しかも、コンサルティングなんて、あんたに出来るの?」

「まぁ、座れよ。これても、専務なんだよ。」

 怪訝な顔をしながら座ろうとしない瑠璃に対して、ニコニコと笑い偉そうにしている浩一の姿があった。

 瑠璃は、ムスッとしながら入り口に背を向ける形で座った。

「何年ぶりか?」

「さぁ。でも、私はあなたには会いたくなかった。今さら何?」

「俺とお前の中じゃん?」

 そう言いながら瑠璃の顔を覗き混む。

 瑠璃は、この男との中について、考えは吐きそうになる。

 あれは成人式の際にヨーロッパから一時帰国し、中学校の同窓会に出席した時のことだ。

 この男、高萩浩一は、見た目は今風のイケメン・家もお金持ちということで、中学時代から、周りをいいように扱って、自分も王さまの様な扱いをされていた。

 
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