どんな君でも愛してる
 着いたと同時に中から話し声し、異様な雰囲気が漂っているのが二人には分かり、思わず観葉植物の影に身を潜めてしまった。

「もう一度言ってみろ。」

 息を潜めている二人に聞こえてきたのは、響介の低い声だった。

「だがら、俺のおさがりで良かったら相嶋とこれからも仲良くしてやって下さいって言ったんです。」

 その声を聞いた時、瑠璃はすぐに響介と話しているのは浩一だと気が付いた。

「おさがり?」

「あ、聞いてないですか?まぁさすがにセフレにはそんな話、しませんよね。」

 その言葉にみんなが息を飲んだのが分かった。

 二人の関係について、誰一人として知らなかったからだ。瑠璃のとなりで奏子も驚いているのが分かる。

「身内が居なくて、体に大きな傷があって、相嶋を花嫁と紹介して、納得するとでも?納得しないでしょ?」

「傷のこと、なんで……。」

「そんな野暮なこと聞かないで下さいよ。俺のおさがりで満足するなんて、社長の女見る目って俺の若いころと同じわけか。」

 その言葉にイラッと来た響介が机にガラスを乱暴に置くのが分かり、瑠璃の横では"挑発なんかに乗るなよ……"とぶつぶつ話す奏子が、ハラハラしている。

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