どんな君でも愛してる
「花嫁候補者何かじゃない。そもそも毛色が違うから味見してやっただけだ。誰が好き好んであんな傷がある女に手を出すか。」

 挑発に乗ってしまった響介が放った一言に、瑠璃は真っ暗になった。

 そして気がついたら、非常階段に向かって走り出していた。

 思わず瑠璃の後を追いかけた奏子達の姿を、めぐみは見つめニヤリとしていた。そして、barの中で繰り広げられる喧嘩に対しても、心の中で笑っていたのだ。

「そうなんですか?でも後少ししか期間ないじゃないですか?」

「そこはちゃんと考えてるよ。お前に関係ない。」

 イライラした声を出す響介と違い、面白そうに笑っている浩一。そこにいるみんなが、浩一が響介に対して挑発しているのは分かっていた。

 王子さま三人が止めに入ろうとすると、女性陣が騒ぎ出したのだ。

 響介がめぐみの手を引き、エレベーターに向かっていたのだ。

 あっという間の出来事で、三人も目を追うことしか出来なかったが、いつもしおらしくしているめぐみの口元が、ニヤリと笑っているのを見逃さなかった。
 
「やっぱり噂は本当だったんだ!」
「暁さんなら納得だよね~。」
「ピアニストと出来てるってデマ、誰が流したの?」

 そんな言葉が飛び交う中、ジョージは浩一の顔を見つめていた。
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