どんな君でも愛してる
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「落ち着いた?」

「すみません……。」

 奏子に部屋まで送ってもらい、落ち着くまで傍にいてくれたのだ。

 もう、涙は流れないと思っていたはずなのに、響介の言葉を思い出すと、また、涙が流れそうだ。

 改めて、彼を好きだったんだと思い知らされた。

「あなたと響介がそんな関係ないだったとは。」

「?」

「あなた何にも知らないんだもん!私、旧姓は東雲。響介の姉なの。」

「えっ?」

 驚いて目をぱちぱちしていると、奏子は可笑しそうに笑っていたのだ。

「しかし、あの高萩と付き合ってたなんて、どれだけ昔のあなたは見る目がないのよ~?」

「……私、彼氏いたことありません。」

 次は奏子が驚いている。

 瑠璃は、成人式の話を洗いざらい話した。襲われそうになったこと・賭けをしていたこと・最後の捨て台詞も全てだ。

 今まで誰にも話したことなかったのに。

「えっじゃぁ……響介が初めての相手だったの!?」

「まぁ、そうなります……。」

 奏子は目を大きく見開き、さらに悲しい気持ちになった。

(容姿や性格からして、男性から声がかかりそうな瑠璃が恋人がいたことがないなんて…それも浩一とのことがトラウマになっていたのに、自分の弟の言動がさらに瑠璃を傷つけてしまったなんて…)
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