どんな君でも愛してる
「失礼しますっ!」

 社長室に入ってきたのは、話題の中心にいるめぐみだ。

 手には祝いの花束を抱えて、恥ずかしそうにしながら近づいてくる姿に虫酸が走る。

「婚約おめでとうの花束のようです。なんか、恥ずかしいですね。でも、みんなに祝福されて嬉しいです!」

 ここ数日で何故こんなにも早く、みんなに情報が行き、祝福されるのかわからない。

 だが、今一番逢いたくないのは、めぐみと浩一だ。

「そこに置いて、出ていって。」

 冷たくあしらうと、瞳をうるうるさせながら、"ひどいです、社長……。"と、出ていかずに近づいてくる。その仕草一つ一つがイラッとさせる。

「出ていけよ!」

 再度冷たい態度を取ると、少しびくりとして気まずそうに出ていった。

 それと入れ替わるように、奏子が入ってきた。

「びっくりしたっ!外まで聞こえてるわよ?」

「……姉貴……。」

「あららっすごい不機嫌だこと。」

「…不機嫌にもなるよ…。」

 項垂れる響介を見ながら、可哀想と思う反面、自業自得とも思ってしまう奏子は社長室の応接ソファーにどかりと座り、響介も座るよう促した。

「報告があるのよ。」

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