どんな君でも愛してる
 ぶつぶつ言いながらも姉の指示には素直に応じる姿は、さすが弟と思える。

「良いやつと悪いやつどっちがいい?」

「……どっちでもいいよ。」

「高萩浩一と暁めぐみは繋がってるわよ、たぶん。」

 その言葉に眉間に皺を寄せている。

 何故奏子がそう感じたのかと言うと、あの水曜日の夜、泣き疲れた瑠璃が寝てしまってから、ジョージが訪ねて来たのだ。

『あの二人、何かあると思う、他のみんなも同意見だ。』

 布団で眠る瑠璃を優しそうに見ながら、"本気だったんだけどな。"と呟くジョージ。奏子は、そんなジョージの気持ちが最初から分かってたから、やるせない気持ちになった。

『響介はセフレなんて作らないよ。自分でも知らないうちに本気だったんだ。だからあんなセリフ挑発にのって言ってしまっただけで……。』

 奏子が思っていた、気持ちと同じ。

 そんな風に思っていてくれる友達がいて、幸せだなぁと痛感した。だから、三人の勘を信じて二人の関係を調べだした。

「たぶんって何だよ?」

「あの二人の目撃情報が多いのよ。みんな口に出して言わなかったみたいだけど、二人が恋人って思ってた人も多くて……。それに、婚約なんて情報が流れたのは、高萩の仕業よ。取引相手やこのビル内のパソコンにメールを送りつけていたのよ。」
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