どんな君でも愛してる
 みんなの話に集中出来ない響介の耳には、瑠璃と奏子と八木のやけに楽しそうな会話が入ってくる。

「八木さんは何が食べたいですか?」

「えっ。私ですか?」

「はい、魚でも肉でもこんなに材料があれば何でもできますよ!」

「……お任せします。」

 そんな話をしていた。

 響介の話しを聞く前に、ご飯が出来上がり目の前には和食が並んだ。炊き込みご飯・味噌汁・肉じゃが・お浸し・お刺身どれもボリュームたっぷりだ。

「美味しそうだね。話をしながら食べようか?」

 総帥の言葉を合図にそれぞれ食べ始める。

 食事になると八木は、総帥のもとに戻り男性陣のいるソファーで食べだした。その席に、紅一点のようにめぐみは居座っている。

 その様子をみて奏子は、"ふつう自分もこちら側で食べるでしょう!"と呆れて、キッチン横のカウンターで瑠璃と食事をしていた。

「東雲くん……。婚約したんだって、おめでとう。と、言うべきかな?」

 総帥にそう言われ、響介は、食事をする手を止めた。当然、言われると思っていた質問だが、否定しようとしたら、先にめぐみが総帥に"ありがとうこざいます!"と答えたのだ。
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