どんな君でも愛してる
「お前たち何いってんだ!?」

 眉を潜めて話す響介に向かって、めぐみは必死に訴える。

「社長も、52階の所有権、欲しいでしょ?遊んで暮らせるし、日本一の男になれるんですよ!!私と結婚して、子どもが生まれてっそれに!総帥に認められる花嫁は私しか、このビルには居ないわ!家柄や容姿、問題なしでしょ!!」

 響介は何を言っているんだと、不愉快に顔を歪ませる。

「何、考えてるんだ!?正直、所有権は欲しい。でも、血縁者がいるって分かった今、どうでもいい。プロポーズもしてないのに、興味なんて、お前にこれっぽちもない!東雲家の結婚の条件は、家柄じゃない。手料理を作れるか作ろうとするかだ。さっき動きもせずに、座っていたお前じゃ無理だ!」

 そういい放った響介を見て、めぐみは自信喪失したようにふにゃふにゃとしゃがみこんだ。それに駆け寄る浩一は、めぐみを揺さぶっている。

「おいっ暁!!何、座り込んでるんだよ!社長にすがり付いてでも、お前は結婚するだよ!!あれだけ、俺は協力したんだからなっ!ちゃんとしろよっ!!会社の金の埋め合わせ、してくれるんだろ!?」

 小声で話してるようだが、内容はただ漏れだ。
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