誰かのための物語
しかし、それではチームの一員とは言えない。

ゴールは、全員で狙わなければならない。

だから僕は、合宿が始まってからずっとイメージをしていた。

条件が揃ったときには、遠慮なくシュートを打とうと心に決めていた。


 
僕にパスを出したのは、相良だ。

相手がボールをはじいたとき、近くにいたのだ。


相良なら、そのボールを中央に運べると思った。
 

そう思っているところに、相手チームは攻撃に転じようとしていた。


だから、僕はゴールに向かって全力で走ったのだ。
 

僕の出した答えは、小さなチャンスを逃さず、活かすことだった。


何度も、試合を
見ているなかでイメージしていたプレーだった。

……ありがとう。


 
僕は心の中でたくさんの人を思い浮かべ、感謝をした。


言葉に言い表せない高揚感が、いつまでも僕の体を熱くさせていた。
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