誰かのための物語
一時間待っても、彼女は来なかった。


陽は一番高いところに昇っている。

公園の景色が揺れて見える。


僕の身体は汗でびっしょりだったけど、そんなことは気にならなかった。


不安を感じながら公園の中央のキャンバスの前にしゃがみ込む。


ここでかおるくんと、たくさん絵を描いた。


彼女はその絵を気に入ってくれた。


そして、絵を描いてくれないかと僕に言ってくれた。


そういえばあのときは、海の絵を描いていたっけ。




最近は画用紙にばかり描いて、かおるくんとは描いてなかったな。

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