誰かのための物語
でも、夢の中の僕は、とんでもなく予想外の行動をとった。



「……返せっ!」


ものすごく大きな声が響いた。

これは、僕の声なのか?



気付いたら僕はその人だかりの中に割って入り、

中心にいる男の子に体当たりをかましていた。


その男の子も不意をつかれたせいか、あお向けにひっくり返る。

僕は馬乗りになり、男の子の左手からノートを奪い返そうとした。

ノートを両手でつかんだ瞬間、視界がぐるりと右に回転した。


強い衝撃に視界がちかちかする。


男の子に右手で殴られたのだとわかった。


ジンジンとした痛みが頬に広がる。
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