誰かのための物語
……そこで目が覚めた。


 
こめかみが冷たい。


さわってみると、濡れている。


僕は涙を流していた。


夢の中で僕は、ノートのことを〝僕らの宝物〞だと言った。


これは、僕だけの持ち物じゃない。


僕と、誰かの。



その誰かは、今ならわかる。



 





……僕は、なくしていた記憶のすべてを思い出していた。


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