誰かのための物語
男の子は、すごい、と思いました。


そして、それを口にも出していました。


「ものすごく、勇気のいることだよね。

うさぎはよくやったね」


 
かんしんしている男の子を見て、女の子は言いました。


「これで、あなたの素晴らしいところの三つ目がわかったと思うわ」





「……勇気」


 男の子は、もう一度その言葉を口にしました。


「そう。

あなたの素晴らしいところ、さいごのひとつはそれよ。

実は、あなたは今までにも勇気を出してきたのよ。
自分でわかる?」

男の子は、今までの自分の行動を思い出していました。


「明日に向けてあなたが気付かなければならないことはそれよ。


あなたには勇気がある。


自分よりずっと大きな相手に立ち向かっていっちゃうくらいのね」


「……緊張をのりこえる勇気も?」


「もちろん。

あなたなら、きっと大丈夫」


 女の子は、そう言うと急にゲホゲホとせきこみました。


「大丈夫!?」


 
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