誰かのための物語
男の子はかけより、彼女の背中をさすりました。


「ありがとう。

今までだまっていてごめんなさい。

わたし、実は病気なの」


「え……」

 女の子のとつぜんの言葉に、男の子は大きなしょうげきを受けました。


「どうしたら、治るの?」


 男の子は、涙声になって聞きました。


「治すのには、手術をしなくちゃいけないの。

でも、とってもむずかしいの」


むずかしいと聞いて、男の子のむねがチクリと痛みました。


「でも手術を受けなければ、長くは生きられない。だから決めたの。

わたしを助けてくれたあなたといっしょに、わたしも勇気を出そうって」


「僕、やるよ。ゼッタイに。

そして、優勝する。見てて」


男の子は、力強く言いました。

だから君も、がんばって。
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