誰かのための物語
「わたしは、あなたに助けられたことがあるって言ったでしょう?」


「うん。

だから、きみはぼくのいいところを知ってて、教えてくれた。

でも、ぼくは結局、きみのことを思い出すことはできなかったよ」


「それが、思い出すのは不可能だったの。


なぜなら…


わたしを助けてくれたのは、あなたにとっては未来のことだから」


男の子は、その言葉にこんどは驚いてしまいました。

女の子は、未来から来たのだといっているのです。


でも、自分が言ったとおり、その言葉を受け入れました。


男の子には彼女がうそを言うとは思えなかったのです。


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