誰かのための物語
私は、それからずっと病院で過ごした。


病室の窓から見える景色が、そのときの季
節を教えてくれた。


少しずつ伸びていく身長や髪も、私にゆっくりとした時間の流れを感じさせた。




加速装置も、もう現れない。



ーー立樹くん、元気かな。

あのときと変わらない、

優しい彼でいてくれているかな。



時折彼を思い出しては寂しい気持ちを募らせていった。


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