誰かのための物語
お姉ちゃんに絵本を預けてから、私はまた夢を見るようになった。



でも、その内容を覚えていない。


ただ、起きた瞬間の気持ちは、絵本を読んだあとの気持ちに似ていた。



物語に浸っていられたことの嬉しさ。


また、誰かを応援しているときのような気持
ちもあった。

今は自分が応援される側にいるような状況なのに。


そんな不思議な感覚だけが残っていた。


少なくとも、今まで見てきた男子高校生になる夢ではない。




その夢は、やはりもう終わったのだ。



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